コウ
コウのルール
02/12/22
コウの種類
02/12/22
コウの価値
02/12/22
定石とコウ
03/11/19
コウダテの打ち方
05/05/08

コウのルール
コウとは何かということから話を進めます。
コウとは、互いに一子ずつをトリ合う形をいいます。
A
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これがコウの形です。黒の手番です。

B
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黒1と打って白のを取る事ができます。

C
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Bの結果がこの形です。

D
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┼┼┼●2 ○┼┫
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続いて白2と打って黒石を取るとAに戻ります。
A、B、C、D、A、B、C、Dとこの取り合いは際限がなくなってしまいます。この繰り返しを避けるため、B図黒1のあと、次の手ですぐ白2と取ることを禁じるルールが出来ました。つまり相手がコウを取ったすぐその後をトリカエしてはいけない、という掟を設定したわけです。もし、相手のコウトリに対して自分がそのコウをどうしてもトリカエしたいならば、一手他の個所へ打ち、相手にもその個所を打たせてから、はじめてコウをトリカエす・・・こういう手続きを経なければなりません。そしてこのコウをトリカエす目的で他へ一手打つ手を、コウダテといいます。

コウダテ

1図

1図
黒1から黒3とコウを取った時、白はすぐコウを取り返すことはできませんが、白4と打ってこちらを手抜きできないようにします。黒がもし手抜きすれば黒3子は取られてしまいます。白4を「コウダテ」といいます。


2図
やむをえず黒が1と応じれば、こんどは白2と取り返すことができます。むろん白2のあと、黒もただちにコウを取り返せません。このように、コウ争いは有効なコウダテを利用することにより取り合いを続けることができます。


2図

コウの種類
3-1図 本コウ
普通私達がコウと呼んでいるのは、コウをとってから更にもう一手かけて打ちあげるコウのことで、本コウとか一手コウといいます。

黒が先でコウを取れば白がアタリになり、白がコウを取り返せば黒がアタリになります。こういう状態を本コウといいます。
3-2図 ヨセコウ

黒がコウを取っても、白はアタリになりません。黒は外のダメをつめなければなりません。このようなコウをヨセコウといいます。





3-3図 一手ヨセコウ

黒1とコウを取ってもアタリにはなりません。もう一手黒3とかけて、やっと本コウになります。こういうコウをヨセコウ、この場合は一手ヨセコウといいます。




3-4図 二手ヨセコウ

この場合は、黒はダメを二手つめないと本コウになりません。二手ヨセコウです。二手ヨセコウを勝つには他に四手打たれるので、ほとんど勝てません。
3-5図 三手ヨセコウ

この場合は、黒はダメを三手つめないと本コウになりません。三手ヨセコウです。三手ヨセコウはコウにあらずと言われています。他へ五手打たれるからです。
3-6図 白有利な二段コウ

黒1に仕掛けると、白2と取られ番のコウになります。黒は碁が勝ちなら黒1のところでなく2のところへ打ってセキにしますが、悪い場合はコウを仕掛けます。
3-7図  三手

黒がコウに勝つためには、黒1と取っただけでは駄目で、更にもう一手黒3とかけないとコウを解決できません。前図でコウを仕掛けてからコウを打ち抜くまで三手かかっています。
3-8図 黒有利な二段コウ

前図黒1の状態で放っておくと、白1と取り返されてまたコウになります。こういう二段構えのコウが二段コウで、一手ヨセコウと同じように、勝つのに三手かかります。
3-9図  両コウ

コウが一ぺんに二つ出来て、コウにならないものを両コウといいます。白1と取っても黒2のコウトリで、どちらも取りにいけません。こういう形を両コウゼキといいます。
3-10図  三コウ

隅の黒と白の攻め合いに、三つのコウが絡んでいます。白1と一つのコウを取ってアタリにしても黒2と取られて逆にアタリにされ、白3のコウトリから、逆に今度は黒が白1の一子を取り返すというように、どちらかがあきらめない限り、果てしなく三つのコウトリを繰り返すことになるので、三コウは無勝負と決められています。
3-11図  万年コウ

万年コウはちょっとむずかしいので、その説明と終局のルールを良く覚えてください。これが万年コウの原型です。白の周りのダメがあいている場合は殆ど無条件生きですが、ダメヅマリの場合は、死活が問題になります。



3-12図  取られ番

白1とつめると取られ番の本コウになるので打ちにくい。だから、白はこのまま放っておいて、黒の仕掛けを待つほうが得策です。






3-13図  コウトリ

黒がこの白を攻める場合は、黒1とコウを取って内側からつめるほかありません。だが、もう一手かけてアタリにすると、コウに負けた場合、白地が大きくなるので、仕掛けにくい意味があります。
3-14図  セキ

黒1とツゲばセキになるので、碁がよければこれでいいのですが、形勢不利なら、コウを仕掛けたいのです。この辺の対応がなかなか難しい。


3-15図  白の取り番

あと一手かけて黒1と取りにいくと、白の取り番になり、負けると白地は10目になります。コウ材が重要になります。



万年コウ終局のルール

万年コウを解決する終局のルールがあります。
日本棋院囲碁規約
「万年劫は双方劫にしかけざる時は<セキ>にし得る方が取ってツギ、セキとする。」
黒白双方がこのコウを仕掛けない場合は、セキにすることのできる方がツイでセキにするのです。
左図の場合セキにすることの出来るのは黒です。双方がコウを争う意志を放棄すれば、黒は1とツイでセキにし、この形で終局とします。

3-16図  循環コウ

右端にコウがあり、黒白共に一眼ある攻め合いのように見えますが、どちらかが譲歩しない限り同型反復があるので無勝負になります。
3-17図  ホウリコミ

黒1のアタリに対し、白は3と一子を取ると白の取られ番のコウになるから、白2で応えるほかなく、黒3、白4となります。

3-18図  無勝負

次いで黒1なら白2というようになり、強力なコウダテが無い限り同型を反復せざるを得ず、無勝負になります。珍しい循環コウです。
3-19図  黒の権利

この場合も循環で無勝負のケースですが、このあと黒が白2の一子を取れば白は黒1を取りセキになります。どちらを選ぶかは黒の権利です。

3-20図  長生

この形が長生(チョウセイ)です。コウの形ではありませんが、同型反復という点ではコウと性質が似ています。白1に黒2という妙手があります。

3-21図  同型反復 

黒4取り返し
白3と黒の二子を取れば、黒4と白1、3の二子を取り返して前図に戻ります。同型反復になり日本棋院の囲碁規約で無勝負となります。

隅の曲がり四目

3-22図  いろいろな曲がり四目

どれも「曲がり四目」で日本棋院の規約で死にの形です。周りの黒に死活問題が生じると、コウ味が出てきます。その一例を右の図で理解してください。
3-23図 攻め合い

外側の黒が心配になってきました。黒1と取りにいきます。
3-24図 コウ

黒1、3というコウになります。
コウの価値
初心者の方々の碁を見ていると、それほど重大でないコウを、何時までも頑張って争ってみたり、反対に大切なコウをいとも無造作に譲ったりしています。
コウの知識のうちで最も大切な点は、その大きさを判断することだと思います。
3-25図  2、3目の利益

黒1のコウは双方の死活に関係が無く、勝っても2、3目の利益にしかなりません。終盤も終わり近くになってから争うコウです。





3-26図 一番小さいコウ

黒1のコウも、白に脅威を与えないし、利益も伴わないので、急いで取る必要は無く、終盤も終わり近くに争うコウです。






3-27図 重大なコウ

黒1のコウ争いによって攻め合いの勝敗が決まるので、重大なコウです。このコウに黒が勝った時は白八目を打ちぬいた上、地ができるから倍に数えて黒16目の利益で、逆に白が勝つと黒六目を取って地が6目できるから白12目の利益になります。その出入り合計28目がこのコウの大きさになります。
3-28図  42目

隅の黒4目と白3目が1の点でコウ争いになっています。黒が勝つと上辺の白八目も同時に死にます。そこで黒が勝った時は、白石合計12目で24目と、空き地が黒地になって五目、総計約29目の利益です。白が勝つと黒4目を打ち抜いて八目で地が一目、上辺の白4目の地と合わせて13目の利益になります。その出入り約42目がこのコウの大きさです。
3-29図 30目を越える

白1と強く二段にハネることがあります。これは黒2に対して白3とコウで争う意志の現れです。このコウは前図のように、正確に近い計算をだすことは不可能ですが、少なくとも30目を越える大きなコウです。





3-30図 30目以上

この形で黒6とハネるのは、もっとも強い打ち方で非常に良い手です。白は困りました。白は8のところにツグのは屈服ですから、白7とコウに受けます。そこで黒8と取ってコウ争いが始まります。このコウを勝つか、負けるかは、一局の勝敗に関係するほどの大きさです。おおよそ30目以上と推定できます。

3-31図  強い手

白1、3は、先手で黒からの攻めを緩和しようとする時に使われます。この時、怖がらずに黒4とハネてコウによって対抗するのが、最も強い手です。
3-32図  コウをトル

白1とコウに仕掛けてきた時には、ひとまず黒2とコウをトリます。白のコウ立ての番です。白のコウ立てに黒がそこを受けると次図です。
3-33図巧妙なコウの打ち方

白1とコウを取った時、黒2と打つのが巧妙なコウの打ち方です。白3と切ってくると大きなコウ争いとなります。このコウ争いは絶対に勝たなければなりません。
3-34図盤面四分の一

黒3と打ち抜きます。その結果、このひと隅は殆ど黒地と確定します。最小三十数目です。しかも白の二つをポン抜いた形は、盤面の四分の一に威力を発揮します。
3-35図 譲歩

白1とコウをトッて来た時に、黒2とコウを恐れて譲歩するのは、良くない打ち方です。白3と打たれて、黒の位が低くなります。

3-36図コウは絶対勝つ

9子局の実戦譜で出てきましたが、3-33図と同じ発想です。黒10はコウは絶対勝つという方針で打ちます。黒10で12のところへ打つと白は2の右にコウ立てして複雑になります。

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