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捨石

捨石について
入門して間もない人は、一子といえども決して捨てようとしません。自分の打った石は取られると損するから、アタリなら絶対逃げます。取られれば碁が悪くなると思っているからです。
プロやアマの高段者は石を捨てます。自分が打った石を取らせるのです。取られるとは違います。石を捨てたからといって、それで碁が悪くなるわけではありません。
それはなぜでしょうか。
小さく捨てて大きく取り、つまらぬ石を捨てて要石を取り、わずかな石を捨てて大きな外勢を作るからです。
 つまり、捨石とは、ある目的のためにわざと相手に石を取らせ、その代償として、それ以上の利益を得ることです。
ただし、そうはいっても、せっかく打った石を捨てるというのは、なかなか勇気のいることです。それを実行に移す時期も大切です。また、捨石をうまく活用するには、相当高度な技術も必要です。
級位者が有段者になるためには、どうしても欠くことのできないのが捨石戦術だと思います。

1 外勢を得る 

第1型    黒先
捨石のなかでもっとも利用度の高いのは壁や厚みをつくる捨石です。むろん、壁や厚みは地ではありませんが、それはあとになって必ず大きな利益をもたらします。つまり厚く打つのが勝利の第一歩です。
さて、本図がその基本となる形です。黒▲を捨石に使って、周囲に黒の壁をつくることができます。
1−1図  失敗

捨石を知らない人は、単に黒1とアテて白2とポン抜かせます。しかしこれは落第です。手を抜けば白aのハネがあり、黒がaと打つのは後手だからです。







1−2図  正着

この形には「二目にして捨てよ」という格言がピッタリです。つまり、黒1のサガリが好手です。白2とオサエれば黒3のアテをキカします。このアテを打ったことによってすでに損失は取り返しました。



1−3図 正着続き

それだけではありません。黒5と打てば白6は絶対で、黒7とアテてシメツケることができます。しかも黒は先手です。そのあと黒a、または下辺のヒラキが打てるわけで、1−1図とは大変な違いです。つまり、黒▲二子の捨石によって、マイナスをプラスに変えることができました。
1−4図  白の抵抗

ただし白にも多少の抵抗の余地はあります。黒1とサガったとき白2にコスむのがそれです。


1−5図  相場

白8までとなれば、aに断点ができただけ黒の成果は割引されます。とはいえこれも単にポン抜かせた1−1図に比べたら、はるかに好結果であることはいうまでもありません。

2 石を取る

第2型  黒先
これは隅にしばしば出てくる形です。
ここで、単に黒aとオサえれば、白bとツガれて白は五手、黒は四手になって黒の手負けは明らかです。
とすれば、捨石以外に道のないことが分ります。
問題はどうして白の手数を二手以下にするかということです。






2−1図  正着

黒はまず1とキリます。白2のアタリは当然ですが、ここでもう一つ黒3とノビることが大切です。
2−2図  捨石

白4のオサエは絶対です。
このとき、黒は▲二子を捨石して5とアテます。
2−3図  再度の捨石

白6と取った時黒7とホウリ込むのが肝要の一手です。これもむろん捨石です。





2−4図  黒勝

白8の取から黒9とツイで事件は落着です。白aなら黒b、白bなら黒aで△三子は必ず取れます。このように、捨石は相手の石を取るにも不可欠なものです。

3  地を守る

第3型  黒先
  
下手にとって白1のような三々打ち込みほどいやなものはありません。
特にこの図は周囲をほぼ完全に囲まれていて、受け損なったらそれこそ黒はおだぶつです。
さて、黒はどう受けたらよいでしょうか。



3−1図  俗手

この形で、まさか黒3から先にオサエる人はいけません。黒1、3とする人は案外多いようです。
3−2図  続き

ところがこれは白4から8とワタる手があり、生きは生きでも相当いじめられます。
3−3図  正着

ここは安全第一に黒1及び3と打たなければなりません。白aと突っ込まれたら、黒b白cでなお悪いではないかと心配されるかもしれませんが、それはヨミの不足です。
3−4図  捨石

白4の突っ込みには、黒5とソッて、白4の一路上の黒一子を捨てればよいのです。白6黒7となって、黒の眼形にはまったく不安はありません。わずか一子の捨石で違ってくるのです。

3−5図  白無理

もしも白が前図6と取らないで、本図1とノビてきたら黒2とツイでaとbが見合い。白が逆に取られます。

 相手の地を減らす

第4型 黒先

捨石はヨセの手段としてもよく使われます。例えば、黒1白2の交換がそれです。これは一見黒損のようですが黒としては深い配慮があってのことです。この一子を捨石にして白地を大きく削減してください。







4−1図  黒白ともに誤り

黒1のハネは、ごく一般的なヨセの手段ですが、この場合は適しません。ただし、白が2と受けてくれれば黒3とツケる手があってこれはうまい。すなわち、白aと遮断すれば黒bでオイオトシ。だから白b黒aとワタってほぼ期待どおりの戦果です。とはいえ、これは白の誤りによって得られたものです。
4−2図  白最善の受け

黒1のハネに対しては、白2と飛ぶのが最善の受けです。これで黒の進出は完全に止まり、黒aと打つのは後手になります。






4−3図  正着

前図白2の点は双方にとって一つの急所、そこに打つ余裕を白に与えてはいけません。つまり、黒1と打つのが唯一の筋で、白2と切れば黒3から5とアテて容易に連絡することができます。また、黒5でaと飛ぶのも一法でしょう。


4−4図  白最強のサガリ

黒1のハネに対しては、白2のサガリが最強の抵抗です。この手に対するむずかしい変化を読みきって、はじめて黒1のハネが打てるのです。なお、黒1に白aのマガリなら黒bと二段にハネ、白c黒2で簡単にワタってしまいます。
4−5図  続き

黒3のツギには白4とワタる一手です。ここで黒は5とサシコみます。このサシコミに対する白の受けはaとbのいずれかですが、大差はありせんので味の良いaの受けの変化を追ってみましょう。

4−6図  終わり

白6のツナギには、黒7とアテ、9に一子をヌキます。白10のオサエには黒11とカケツぎ、どう転んでもただではすまない形です。こうなっては白は地が減るどころか、へたをすればトラれかねません。つまり碁は終わりです。

4−7図  先手の捨石

4−5図、4−6図の結果から白は2とマガるほかなく、以下13までと黒は先手でヨセ、他にまわります。黒の最初のハネダシ、1,13の捨石の効果です。

5 先手を取る

第5型  白先
黒1、3のツケオサエは堅い打ち方ですが、黒▲が小目の場合は気が進みません。
それはともなく、黒の意図は白a、またはbと守らせて先手を取ろうというのです。
白もそう受けて悪いわけはありませんが、ときには相手の作戦の裏をかいて手を抜くのも一興というものです。




5−1図 白手抜き

白が手を抜いて左下隅に1と打てば、おそらく黒は2と切るでしょう。それには白3とヒキ、黒4なら白5とハネとハネます。黒6白7となれば白十分の態勢です。
5−2図 捨石

黒が1と下を切ってきた場合は、白一子を捨てて白2とアテ、黒3の取りには再び先手をとって白4とします。


5−3図  先手の価値

黒5から白8までは前図の操作の繰り返しです。そして、これと同じことを10回続けたとします。もう説明せずともおわかりでしょう。黒は石を取るたびに先手を取られ、白は石を捨てるたびごとに優勢の度を加えています。
碁には「石を捨てて先を争え」という格言がありますが、これがその証明です。
序盤、中盤における先手の価値は予想以上に大きいのです。

6 石をツナぐ

第6型  黒先
いま、白が1、3と打って隅の黒を取りにきました。もちろん隅に二眼を作る余地はありません。
しかし、コスンだ白二子も不安定ですから、その欠陥をうまく突けば左右をツナぐことができます。
黒はどこから手をつけていきますか。




6−1図  俗手

こんな形の場合、きまって黒1、3とする人がいます。だがこれは白2、4と普通に受けられてあとが続きません。黒aなら白b、黒bなら白aです。
6−2図  失敗

黒1とアテコむのも白2とツガれてaとbが見合いです。これも問題になりません。



6−3図  正解

正解は黒1のツケです。これさえ打てばもうしめたものです。白が2とさえぎれば黒3と突っ込みます。白aなら黒bで簡単に連絡できるし、白bとツゲば黒aとツナいで攻め合いは明らかに黒勝です。
6−4図  捨石

白が1の方から遮断するなら、黒2とキリます。この場合の黒▲はいうまでもなく捨石です。白3とカカエたとき・・・


6−5図  連絡

黒4とアテます。このアテを打てるところが捨石の効果です。白5のツギが絶対ですから、黒6とワタって隅は助かります。この形、黒▲の捨石なしには絶対救出できません。

7 石をサバく

第7型  黒先
白の勢力圏内に黒石が三子、ポツンと置かれています。
下手に動けば攻められて大きな犠牲を強いられるのは必定です。
黒はここをどうサバいたらよいでしょうか。





7−1図  常用の筋

相手の勢力圏では、何よりもまず早くオサマるという方針でのぞむのが第1です。
それを怠ってハダカになって逃げ出すようでは、一挙に大勢を失する結果になりかねません。
したがって、ここは黒1のトビツケを打つのが筋です。いわば中盤の定石ともいえる形です。
白2のハネダシは当然の一手で、黒3のキリから次図のようになります。
7−2図  捨石

白4のカカエに黒5と伸びたのは、前に説明しました「二目にして捨てよ」の応用です。
白6のオサエは絶対です。そのとき、黒7、白8をキカすのを忘れてはいけません。
白6をaと伸びる手のないことは説明するまでもないでしょう。




7−3図  シメツケ

続いて黒は▲二子を捨石にして、9から11とシメツケて先手で一眼を確保します。こう打っておけばもう大丈夫です。必要とあれば黒a白b黒c白dと打って、いつでも生きられます。二子を捨てたのが惜しいと思う人があるとすれば、それはその人の視野の狭さによるものです。ここに根拠を持つのとそうでないのとでは、このあとの戦いにその数倍の差を生じます。早くその考えを改めなければなりません。

8 生きをはかる

第8型  白先
白1のオキは奇異に感じられるかもしれませんが、右の白△と関連した手法で、もちろんある手です。
これに対して黒は2から4と強くオサエ込んできました。
白はこのあとどう打つところでしょうか。




8−1図  白自在

白1のツケはこの一手です。黒の出方によって白は自在に変化します。
例えば、黒aにオサエれば白bと出て黒の一子を制し、黒bにオサエれば、白c黒dを交換し、aとハッて生きをはかります。このとき注意をしなければならないのは、白c黒dを先に交換するのは大悪手だということです。例えば白1黒a白bのあと白がeにオサエたとしても、白c黒dの交換がなければ白にはワタリがあります。
8−2図  フリカワリ

「場合によっては捨てても良い」と考える人は、まず白1と頭にツケます。これがこんな形での常用の筋です。
このとき、黒が2とオサエるなら、白は二子を捨て石にして3とノビ、逆に黒▲一子の動きを制します。ここはもともと黒の勢力圏です。これだけ荒らせば白十分です。



8−3図  

白1に対して黒が2とオサエたらどうするか。
そのときこそ、白は3と出て黒4とかわり、5にハワなければなりません。
8−4図  捨石の効果

前図から黒が1と切れば、白もすかさず2と切ります。白△の捨石がその本領を発揮して黒aと打つ手を封じています。
黒aは白bで両アタリです。
8−5図  二子取り

したがって、黒は3とツグよりほかはなく、白4とオサエ込んで黒▲の二子を取ることができます。





8−6図  蛇足

ところでこんな形になると、白1から先に切って黒2とツガせ、その後に白3とする人の何と多いことでしょう。そう打つ人は白1を捨石だというかもしれませんが、それは誤りです。
捨石の目的はそれによって得を図ることにあるのに、白1から黒4までは相手に得をさせるだけです。白にとってのプラスは何もありません。8−5図と比較をすれば明らかです。
8−7図  生き

白△に対して黒1とツゲば、白2から6までと大威張りで隅に生きます。
黒にはa、bの断点まで残っていて、断然白よしです。

9 攻め合いに勝つ

第9型  黒番

捨石戦術は攻め合いにもまた欠くことのできない重要な戦法です。
例えば、図の黒▲と白△の攻め合いなどがその一例です。黒は二手、白は三手でどう見ても黒に勝はなさそうですが、実は捨石戦術を行使して、攻め合いに勝てるのです。
9−1図  黒3悪手

手を伸ばすために黒1とハネるのは当然です。しかし、白2とオサエたとき黒3とツイでは元のもくあみです。白4、6、8でオイオトシです。


9−2図  両バネ

黒1、3の両バネが正着です。白4とオサえたとき黒5と手をつめて一手勝です。
9−3図  コウ

白1とツケるのも手筋です。白1にうっかり黒2とノビると、白3、5でコウになります。
9−4図  単ツギ

白1のツケのとき黒2と単にツグのがうまい手で、白は一手もゆるめられず、3とハネれば、黒は4とノビます。
9−5図  白トラレ

つづいて白5とアタリをかけ7とハネても黒8で白三子がおちてしまいます。



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